Firefox 26で修正された、 オリジンを超えて文字エンコーディングを継承させることができたため、 XSSを引き起こせる場合があったバグについて書きます。
MFSA 2013-106: Character encoding cross-origin XSS attack
https://www.mozilla.org/security/announce/2013/mfsa2013-106.html
一言で言います。
エンコーディング指定がないページに対し、POSTリクエストを送ると、たとえオリジンが異なっても、 POSTリクエストを送ったページのエンコーディングを使ってページを表示することができていました。
つまり、エンコーディング指定がないページで自動選択されるエンコーディングを、外部のサイトが自由に選択できたということです。
発見のきっかけはZDResearchという情報セキュリティ会社の以下のXSSチャレンジに挑戦していたときです。
https://zdresearch.com/challenges/xss1/
このページにはエンコーディングの指定がなく、ページのエンコーディングを想定外のもので表示できればXSSできるのに、と考えていたところ、この問題に気が付きました。
そのときの解が以下です。Firefox26未満のブラウザでXSSできます。
http://l0.cm/zdresearch_xss_challenge.html
ISO-2022-KRがPOSTを送ったページ l0.cm から継承され、 「0x0E」から「0x0F」が2バイトで1文字表現となり、期待するHTML構造を破壊し、onmouseover属性を埋め込むことができています。
(ちなみに、この発見の賞品として、ZDResearchから以下の写真の A Bug Hunter's Diary: A Guided Tour Through the Wilds of Software Security を頂きました。Thank you ZDResearch!)
余談として、現在Firefoxがサポートしているエンコーディング( http://l0.cm/encodings/table/ を参照 )はほとんどが安全なものに限られており、また、 エンコーディング自体のバグの多くも修正されているので、全く無理ではないものの、 HTMLの構造をうまく変更してXSSすることが難しいです。UTF-7とか、X-Mac-Farsiがサポートされている頃に発見していたらもうちょっとおもしろかったんですけど!
とはいえ、このバグが修正されても、そもそもウェブページにエンコーディング指定がない時点でどのエンコーディングで表示されるかが保証されないので、今後もエンコーディング指定がないページでは、場合によっては想定外のものが自動選択され、XSSが起きる場合はあり得ます。引き続き、サイト管理者はContent-Typeヘッダ(※こっちで確実にすることを推奨します)やmetaタグで、エンコーディング指定をきっちりすべきです。